悪魔からの逃亡~愛された証と共に~
「――春人っ!」
抱き締め返して、熱く見つめ合う。
唇が触れるのに、時間はいらなかった。
離れてた時間を惜しむように、何度も何度も触れる。
もっと深い場所で繋がりたいのを堪え、舌を絡め合う。
「あの悪魔から、由貴を救うよ。
俺らの別れは、全部アイツに仕組まれてたんだ」
「――ぇっ?」
「だから逃げよう、三人で」
迷いなんて全くない。
春人ほど大切なものはないと、離れて気付いたから。
「もう二度と離さない。由貴に似合うドレス、俺が着せてやるから」
庭園に続くドアを開け、二人で走り出す。
未来はきっと明るいと、信じて疑わずに――。
