かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
間宮さんにも、こんなにも叫ぶときがあるなんて少しも想像していなかったし、そういう一面を持っていたことも、またしかり、だ。

普段の間宮さんのキャラクターとは、ずいぶんかけ離れていて、びっくりというよりも、嘘でしょ、という思いが先行してしまった。

すると……。


「きゃあぁぁぁ……!!」

「うっさい、黙っとけアホ」


あたしの背中と膝の裏に手を回した間宮さんが軽々とあたしの体を持ち上げ、さらに叫ぶ。


「こいつだー!可愛いだろー!」

「……っ!!」


怖くて恥ずかしくてジタバタ暴れていたあたしの体が、ジタバタの“ジタ”の形で硬直する。

その代わりに、顔はみるみるうちに熱を持ちはじめ、背後でヒューヒューとはやしたてる2人の声に相まって、蒸発してしまいそうなほど、自分でも赤面しているのがよく分かった。


「俺はお前を背負いたい。いや、背負うと決めてこの町に来た。可愛くて可愛くて仕方がないんだ。……俺に背負わせてくれるよな?」


お前に拒否権はないぞ、と、最後にそうつけ加えた間宮さんは、あたしと目を合わせると、勝ち誇ったように意地悪く笑う。

まったく。

なんなんだ、この人は……。
 
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