かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「だな。たぶんあいつらも笑ってくれてると思う。お前がさっきのラジオで話してくれたし、ハルも香も、お腹の子だっているし、今日はいつになく賑やかだし、うるさい」

「ふふっ、はい」


ハルと香ちゃんは花火の点火に夢中らしく、背中のほうで楽しそうにはしゃぐ声が聞こえるため、おそらく“うるさい”とは、そのことだ。

また間宮さんの得意技だ、などと思いながら笑って相づちを打つと、そのとたん、間宮さんの左手が、あたしの右手にそっと触れる。


「……俺な、お前にひっぱたかれた日に、花火を見上げながら言ったんだ。お前たちのことは俺が一生背負う、って。だけど……」


間宮さんはそこでいったん言葉を区切ると、あたしの手を握る手にぐっと力を込めた。

そして、深く息を吸い込み、空に叫ぶ。


「もう背負うのはやめたー!これからは、お前らを思い出すのは時々にしようと思うー!悪く思わないでくれ、俺にはお前らより背負いたいものができたんだーっ!!」


あんまり大きな声だったから、あたしは間宮さんを見上げたまま、口をあんぐりと開けるだけで、ハルと香ちゃんも、きっとあたしと同じ状態だろう、2人のどちらかが思わずライターを落とした音が、背後でカチャッと響いた。
 
< 419 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop