俺様編集者に翻弄されています!
第五章 笑顔のために

Chapter1

 ―――翌日。


「氷室さん!」


 悠里は朝一番に氷室の編集室へ勢いよく乗り込んだ。

 周りの社員が驚いて悠里を見ている。


 パソコンに向かって作業をしていた氷室が、かけていた眼鏡を下にずらして悠里に顔を向けた。



「もう来たのかよ、あぁ、ちょっと待ってろすぐ片付けるから」


 氷室の意外にも長い指が、悠里よりも速いブラインドタッチでキーボードの上を滑っている。悠里は内心早く原稿を見てもらいたくてウズウズしていたが、少し落ち着こうと深呼吸を数回した。

 氷室の普段はかけていない眼鏡が、さりげなく容姿を更に際立たせているようで、胸が小さく跳ねたが悠里は気づかないフリをした。


「氷室さん、目が悪いんですか?」


「俺、遠視だから。そういえば……お前、今日はスカートでもないし、コンタクトでもないのな」


「……え?」


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