俺様編集者に翻弄されています!
「な、ななな何も? ね、ねぇ編集長?」
「あ、悪い会議の時間だ。じゃあ、そういうことで! 先生よろしくお願いしますよぉ~」
「あ、逃げる気ですか?!」
北村は腕を直角に曲げ、猛ダッシュでエレベーターに乗り込んでいった。
(仕方ない……ただ迎えに行けばいいだけなんだよね? どうせ明日も暇だし、新作の企画でも練ろうかと思ったけど、そんな気分にもなれないし……)
と思うと、悠里は渋々その申し出に応じた。
「ほんと!? ありがとう! あぁ、やっぱり持つべきものは友よね!」
「その友人を捨てて結婚したくせに……」
「あはは、もぅ、そんな憎まれ口叩かないの! はい、これ氷室さんの明日のスケジュール」
まるでその氷室というアーティストのマネージャーにでもなった気分だった。
空港に着くのは明日の朝らしい。朝から早起きしてわざわざ空港まで向かわなければならないだるさにうんざりする。
「それから、これ」
続けて「大海出版 氷室美岬様」と書かれたボードを手渡される。
「な、なにこれ?」
「決まってるじゃない、これを首から下げてお迎えするのよ、あんたは顔知ってても、向こうは知らないんだから」
(これは何かの罰ゲーム?)
どうして初対面の人間にここまでしなければならないのか、しかも自分の会社でもないのに。
悠里は憤りを通り越してやけくそになっていた。
「あぁあ! もう! わかったわかった! この際胸に薔薇の花でも差して待っててやるわよ!」
「あぁん、悠里頼もしい!」
勢いで了承してしまったことを後悔する間もなく、パチパチと小さな加奈の拍手が虚しくカフェテリアに響いていた―――。
「あ、悪い会議の時間だ。じゃあ、そういうことで! 先生よろしくお願いしますよぉ~」
「あ、逃げる気ですか?!」
北村は腕を直角に曲げ、猛ダッシュでエレベーターに乗り込んでいった。
(仕方ない……ただ迎えに行けばいいだけなんだよね? どうせ明日も暇だし、新作の企画でも練ろうかと思ったけど、そんな気分にもなれないし……)
と思うと、悠里は渋々その申し出に応じた。
「ほんと!? ありがとう! あぁ、やっぱり持つべきものは友よね!」
「その友人を捨てて結婚したくせに……」
「あはは、もぅ、そんな憎まれ口叩かないの! はい、これ氷室さんの明日のスケジュール」
まるでその氷室というアーティストのマネージャーにでもなった気分だった。
空港に着くのは明日の朝らしい。朝から早起きしてわざわざ空港まで向かわなければならないだるさにうんざりする。
「それから、これ」
続けて「大海出版 氷室美岬様」と書かれたボードを手渡される。
「な、なにこれ?」
「決まってるじゃない、これを首から下げてお迎えするのよ、あんたは顔知ってても、向こうは知らないんだから」
(これは何かの罰ゲーム?)
どうして初対面の人間にここまでしなければならないのか、しかも自分の会社でもないのに。
悠里は憤りを通り越してやけくそになっていた。
「あぁあ! もう! わかったわかった! この際胸に薔薇の花でも差して待っててやるわよ!」
「あぁん、悠里頼もしい!」
勢いで了承してしまったことを後悔する間もなく、パチパチと小さな加奈の拍手が虚しくカフェテリアに響いていた―――。