俺様編集者に翻弄されています!

Chapter2

「えー、本日はお忙しい中、弊社主催の謝恩パーティにご出席いただき誠にありがとうございます。つきましては弊社の月刊小説雑誌「艶人」の十周年記念も兼ねまして―――」


 長々とした北村編集長の挨拶も右から左の耳へ流れ、悠里はひとりルンルンで立食を楽しんでいた。


 フレンチ、中華、日本食にバラエティに富んだ料理に思わず胸が踊る。


(このローストビーフ、おいひぃ!)


 食べることに集中していると、案外周りなんて気にならないものだった。あんなにパーティに行きたくないと駄々をこねていた自分が馬鹿みたいに思える。

 悠里が様々な料理に舌鼓を打ち、サラダを取ろうとトングに手を伸ばした時だった。
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