俺様編集者に翻弄されています!
「いらっしゃいませぇ~! ああぁん、もう待ちくたびれちゃった。私はここのオーナー兼店長のデコンタ・ナオでぇす! 初めまして! ナオママって呼んでね!んふ♥」


「……えーっと」


 雑居ビルを掻い潜ってお洒落な雰囲気の外観とは裏腹に、悠里を出迎えたのは明らかに女装したごつい男だった。


 くねくねと腰を揺らして氷室に挨拶のキスをねだっている。


「やめろっ、離れろって……ああ、こいつは木村直樹。俺の幼馴染だ」


「ち、ちょとぉぉ! なに男だってバラしてんのよ!」



「バラすもなにもバレバレだろ、だいたいこんなデカイ女がいるかっての」


 氷室はいつも座っているスツールに腰掛けると、煙草を取り出した。

 近くの店員がライターで火を点けるが、それをやんわり断ってジッポーのリッドを押し上げた。


「あなたがユーリ先生ね! んまぁ、想像していたよりも可愛い方じゃない! ささ、座って頂戴」


 ナオママはいそいそとカウンターの中に入って料理の支度を始めた。
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