俺様編集者に翻弄されています!

Chapter2

 LOVE STICKを出て、ふたりは夜の新宿の街をぶらぶらと歩いていた。

 平日の夜のこの時間は、会社帰りの人などで混雑している。


「きゃ、す、すみません……」


 すれ違いに肩がぶつかって後ろに押されると、ふわりと誰かが背中を支えてくれた。


「大丈夫か? ったく、ぼさっとすんな」


「氷室さん……あ」


 背中からするりと手が下りたかと思うと、氷室は徐に悠里の手をとった。


 温かくて意外なほど大きな手に悠里の心臓が跳ねる。ドクドクといった心音が鼓膜の奥で響いているのがわかる。


 氷室は悠里の手を引きながら無言で歩き、そして気がついたら都庁前に来ていた。


「ここは……」


「お前に見せたいものがある。いいからついて来いよ」


 悠里はその言葉にただ頷いて氷室の後に続いた。
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