俺様編集者に翻弄されています!
「氷室はきっと同じことを繰り返す。それが怖いんだ……臆病な男だと思わない?」


「な、なんのことですか……? 意味がわかららないんですけど」


(同じこと? 繰り返す? どういうこと?) 


 悠里は宮森の言葉の意味が全く理解でず、頭の中で無意味に言葉が旋回していた。


「あはは、いいや、なんでもない……これ以上の話しは同じ男としてマナー違反な気もするからね、機会があったら直接本人に聞いてみるといいよ」


 聞けるものならね―――。

 というニュアンスが含まれた宮森の口調に、悠里は不穏なものを感じずにはいられなかった。


「ああ、それと仕事を引き継ぐ時にこれ、氷室から渡されたユーリ先生の資料」


「……これは」


 宮森が鞄から取り出したのは、今まで執筆してきた自分の原稿だった。

 その中には「忘我の愛」の前作である「愛憎の果て」も混ざっていて、よく見ると氷室なりに原稿をチェックした跡があった。

 それに限らず、何年も前に大海出版で本を出した時の原稿まである。
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