俺様編集者に翻弄されています!
終 章 ラズベリードリーム
Chapter1
歌舞伎町LOVE STICKで―――。
「いらっしゃい、あら、今夜は悠里ちゃんだけなの? 美岬は?」
こんな時間に一人で新宿の歌舞伎町をうろうろすること自体、悠里にとっては珍しいことだが、なんとなく今夜は家にいたくない気分だった。
「いえ、今夜は一人なんです」
何をするでもなく、気がつけばふらりと前に氷室に連れてきてもらったことのあるLOVE STICKに来ていた。
店の中に入ると、一人で来ていた悠里が意外だったのか、驚いた表情でナオママが出迎えた。
連載もひと段落し、「忘我の愛」の映画制作も滞りなく行われ、年末には公開される予定だった。
その頃にはまた「艶人」で新しい連載が始まっているはずだ。けれど、それが宮森の担当でだと思うと重苦しいものを感じた。
氷室が担当を外れて以来、何時間もパソコンの前に座っても何も文章が浮かんでこなかった。
あれから何度氷室に電話をかけようとしたかわからない、携帯を握って番号を呼び出そうとしては躊躇って枕を抱きしめながら悶々としていた。
「いらっしゃい、あら、今夜は悠里ちゃんだけなの? 美岬は?」
こんな時間に一人で新宿の歌舞伎町をうろうろすること自体、悠里にとっては珍しいことだが、なんとなく今夜は家にいたくない気分だった。
「いえ、今夜は一人なんです」
何をするでもなく、気がつけばふらりと前に氷室に連れてきてもらったことのあるLOVE STICKに来ていた。
店の中に入ると、一人で来ていた悠里が意外だったのか、驚いた表情でナオママが出迎えた。
連載もひと段落し、「忘我の愛」の映画制作も滞りなく行われ、年末には公開される予定だった。
その頃にはまた「艶人」で新しい連載が始まっているはずだ。けれど、それが宮森の担当でだと思うと重苦しいものを感じた。
氷室が担当を外れて以来、何時間もパソコンの前に座っても何も文章が浮かんでこなかった。
あれから何度氷室に電話をかけようとしたかわからない、携帯を握って番号を呼び出そうとしては躊躇って枕を抱きしめながら悶々としていた。