俺様編集者に翻弄されています!
 途中色々ありながらも、二時間ほどでエンドロールがようやく流れ出した。鑑賞していた周りの客たちも次々に席を立って帰ろうとしている。


「氷室さん、出ますか?」


 背伸びをしながら体中のこわばった筋肉を解している氷室に言うと、じろりと横目で悠里を見た。


「エンドロールに流れるお前の名前くらい見ていけよ」


「え……?」


「お前にしか得られない最後の楽しみだろ?」


 映画が始まる前、氷室は客になったつもりで観ろと言ったが、悠里はなんとなくその意味がわかったような気がした。


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