もしも…  《TABOO》
「ああゴメン」

隣の彼は決まり悪げに頭をかいた。

「DVDを見ようとしてボリューム調整、しくったんだ」


それは、去年ヒットしたSF映画で、私も観損ねていたものだった。


「一緒に観る?」


少し迷ったけれど、一人でいるのが嫌で、私は彼の誘いに乗った。

でも心は晴れなくて、気が付けばラブシーンを見ながらポロポロと泣いていた。


「あーあ。こんなに泣かせて、悪い奴だな」


隣の彼は私を抱きしめ、そっと唇を重ねた。

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