もしも…  《TABOO》
隣の部屋のドアが開いた。

危うくドアにぶつかりそうになる。


「うるさいのはどっちだよ」


隣の彼は『友達の友達』という、何とも微妙な知り合いだ。


私の顔を見ると、隣の彼の口調が変わった。


「何かあった? 目が赤い」

「彼にフラれたの」

「本当に? いつもラブラブだと思ってたけど」

「約束をすっぽかされたの五回目よ。他にどう考えればいいっていうのよっ!」

「シーッ! デカイ声出すなよ。俺が振ったみたいじゃないか」

私はグスッと鼻をすすった。

「ワインを開けて思いっ切り泣こうとしたのに、隣からは騒音がするし」

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