【完】ヒミツの恋を君と。
「ねぇ、名前はなんて言うの?」


「“はる”。河野“はる”」





えっ……

その名前を聞いたあたしは思わずベンチのまん前まで駆け寄っていた。




「“はる”って言うの?漢字は?春夏秋冬の“春”?」




寝転んでいるその顔を覗き込む様に必死に聞くあたしを、“河野先輩”はチラッとだけ薄目を開けて見てからまた閉じた。




「違う…晴れるの“晴”」




河野晴。


はる──


春──




暖かい“春”の風があたしの頬を撫でていく。

優しい風なのに、酷く胸が痛い。




お願い。

もうこの痛みからあたしを解放して。




新しいあたしになりたい。

そしてこの気持ちだけ忘れてしまいたいの。


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