【完】ヒミツの恋を君と。
途端に静かになった空間で晴と目が合った。



晴はまた、座わりこんだままのあたしの前に座る。


急に顔がほてりだす。

間近で覗き込まれてバツが悪くなったあたしは、目線を逸らせて俯いた。



「バーカ」


「っ!?」



でもそんなことは許さないとばかりに、晴があたしのアゴを掴んで顔を上げる。



「なんでお前が泣いてんの?どうせ、俺と祐樹のことで泣いてんだろ?」


「う゛……」



号泣してる顔を見られたくなかったから目を逸らせたのに、泣いてる理由までバレてるし…。

晴がアゴを掴んだまま離してくれないから、ボロボロのこの顔を見られたままで。



「桃佳はいつもそうだよな?」


「え?」


「自分のことより人のこと。2人の春のときもそうだったし、今回だってそうだよ。自分の危険より、俺と祐樹のこと」



晴はあたしを見つめたまま目を逸らさない。



「祐樹に怖い目に合わされてる時には泣いてもいなかったくせに、何で今泣いてるんだか?」



晴は呆れたようなため息を吐いてから、アゴを掴んでた手を横に滑らして、あたしの頬を流れる涙を拭った。
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