【完】ヒミツの恋を君と。
扉が開く音がした。


そして瞬間、教室中の空気が変わる。



“あの人誰?”

“3年?すっごい、かっこよくない?”



そんな話し声が聞こえてきて、あたしも何気なく扉の方に振り向いた。




「あ、ハルさんだ!」




塔子の声と共に、その姿が目に入ってドキドキ心臓が暴れだす。




「桃佳」




あたしを見つけてそう呼んだのは、眼鏡も寝ぐせもないナチュラルバージョンの晴で。





「塔子、ちょっといってくるね!」


「うん、盛り上がってきちゃってねー!」





そんな声に見送られながら晴の下に早足で行く。

この短い距離ですらもどかしくて、早く晴の傍へ行きたくて…。


あたしが晴の前に着いたのと同時に、廊下側から同じクラスの女子2人が晴に声を掛けてきた。





「先輩って、初めてお見かけしますけど転校生ですか?かっこいいですよね!お名前は?」


「あれ、吉丘さんとお知り合いですか?お兄さんとか?」





晴は彼女達のことをチラッとだけ見た後、あたしをじっと見る。





「桃佳は彼女だけど?」


「!?」


「だよな?」





あたしにそう投げかけたかと思うと、晴はあたしの手を掴んで歩き出した。

すれ違い様、彼女達の顔を見ると目を見開いたままキョトンとしてた。


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