オオカミとお姫様
次に瞼を開けたのは1時間後の事。
ベッドから降り、カーテンを開ける。
朝礼会議から戻った先公がいた。

「大人しくしてたんだ」

「まぁな」

眠い目をこすりながらコーヒーメーカーへ。

「あ、俺のも頼む」

「…あぁ」

「あんたが大人しく寝ている間に校内はえらく騒いでたよ」

「ふぅん…」

あんま興味ない。
学校の事とか。

「なんか、サッカー部のキャプテン君をたぶらかした女がいるとかなんとか」

「へー…コーヒー」

「あ、どうも。名前も聞いたんだよな…えっと…あぁ、春瀬詩音」

「…っ!!」

「なに?知り合い?」

「べっ別に」

動揺を隠せない。
詩音があいつをたぶらかした!?
…ないないない。
そんな器用な事、あいつができるはずない。

「昨日、春瀬さんの家まで送っていったって話だよ」

「…は?」

「それだけでたぶらかしたとか言われちゃうんだね…可哀想に。どう考えてもキャプテン君がたぶらかしてるじゃん」

家まで送った?
詩音の家に?
俺以外の男が?
また醜い嫉妬に覆われる。
独占欲が強くなる。

「あ、気になっちゃってる?」

「…なっ、べっ別に」

「ふぅん。まぁキャプテン君だからねぇ。モテるからね、あの子は。春瀬さんになにもなければいいけど」

あいつめ…
詩音に何かあったら許さねぇ。
今にも解き放たれそうな感情を必死に押さえつけてコーヒーを啜った。
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