オオカミとお姫様
「桜井くん、いつになく感情的だな」

「は?」

「その子のところに行ってあげなくていいの?」

「なんで俺が?」

「すごく行きたそうだけど」

「別に…」

変態栄養士のくせに、俺の心を読みやがる。
今すぐにでも詩音のそばに行きたい。
守ってやりたい。
けど、それは詩音にとって迷惑な話であって…
俺なんかが行ったらややこしくするだけ。
だったらここで大人しくコーヒー飲んでる方がいい。

俺がやらなくたって、あの人が何とかするだろう。
あの人は詩音の事が好きなんだから。
詩音も俺みたいな独占欲の塊のような奴なんかよりも、あいつの方が好きに決まってる。
笑顔でいられる。

「あんたも悩める子羊だったんだな」

「…は?キモいんだけど」

「悪かったな、キモくて」

「まぁ変態栄養士だからな」

「だから、変態じゃねぇよ。…あとで、どうなったか聞いてくるよ」

「は?別に興味ないし」

「あんたがなくても俺が興味あるんだ」

「あっそ」

それ以上は何も言ってこなかった。
きっと先公は俺が気になってることを知っている。
俺がそんなことを素直に言うはずないってことも知ってる。
変態栄養士のくせに…
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