オオカミとお姫様
「…そう」

今の精いっぱい。
俺の感情を殺すのは無理だった。
自分でもわかるくらい低い声。

「あの、そのっ」

詩音が必死になる。
なんて声をかければいいのかあたふたしている。
このままだとまた謝られてしまう。

「ごめん、なんでもねぇ。先、帰る」

この独占欲の塊を詩音にぶつけてしまう前に去った。
ぶつけてしまったら、きっと詩音は俺の前から居なくなってしまう。
それだけは本当に嫌だった。
< 84 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop