アンラッキーなあたし
「しかし、女は化けるね?うちの社員もあの占い師が美人だって話でもちきりだったんだぜ。中田さんだって、お前だって知らないで、綺麗な占い師がいるって…」

そこまで言って、千葉は、はっとしたように口をつぐんだ。あたしの目からみるみる涙が溢れてくる。

「悪い、桜庭…」

「あ、謝んないでよ。なんであんたが…」

あんたに謝られたら、あたし余計に惨めになるじゃん?涙が止まらなくなるじゃん?

それなのに、千葉は、「ごめん、ごめん」と繰り返した。

ほんの時々通る人や、警備員のおじさんが、あたしたちを見てみぬふりしている。

「おい、勘弁してくれよ。まるで俺が泣かせたみたいじゃん」

千葉が焦れば焦るほどあたしはおおげさに泣いてやった。

もっと、もっと、困ればいい。日頃のうっぷんまとめて全部吐き出してやる。そうすれば、あたしの気も少しは晴れるかもしれない。

そう、思ったのに、ちっとも気が晴れなかった。

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