アンラッキーなあたし
「ほら、急いで」

にも関わらず、言われるがまま、お茶やコーヒーの準備をしているあたしはなんて情けないのだろう。

ああ、自分で自分を殴りたい。

こうしてあたしは、いつも誰かと自分に腹を立てている。

あたしがお茶を入れている間に、恵梨菜はグロスを塗りなおしたり、ファウンデーションを塗りなおしたりしで忙しい。

こいつのことは大嫌いだ。でも、女として見習わなくてはいけないところは多分たくさんあるのだろう。

あたしは朝に鏡を見たら、化粧直しなんてしない。目くそにも鼻くそにも歯についた海苔にも帰るまで気づかないことが多々ある。

女として、というより、人間として終わってる。

「あ?終わり?はい、ありがとさん」

恵梨菜はお盆をひったくるようにして受け取ると給湯室を出て行った。

あたしが入れた極上のお茶を、恵梨菜が極上の笑顔で運ぶ。恵梨菜がいなくなっても、給湯室は、まだほのかに甘い香りが残っていた。
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