アンラッキーなあたし
オフィスへ戻ると、あたしは次々と雑用を言いつけられた。

「あんた、これやっといて」「ちょっと、これまとめてよ」「ねえ、さっき頼んだ計算終わったの?え?まだお前さ、頼むよまったく…」

ここでは誰もあたしのことを名前で呼んでくれない。もし、この世に「あんた」とか「お前」とか「ちょっと」という言葉がなくなれば、あたしは何と呼ばれるのだろう?

名無しのゴンベイですらゴンベイという立派な名前があるというのに。

けど、そういうあたしだって、同僚の名前をいちいち覚えちゃいない。親しくしている人も、うわべだけでお付き合いしている人もいない。それは何も仕事に限ったことではないけれど。

あたしはただ黙々と頼まれた仕事をこなしていく。昼休みですら誰とも話さず、出かけず、自分で作った弁当を食べ、それが終われば、また黙々と…。

こうしてひたすら一日が終わるのを待つ。

あぁ、早く帰りたい。

けど、帰っても楽しいことなんか、ない。
< 17 / 354 >

この作品をシェア

pagetop