アンラッキーなあたし

魔女を欺け

翌朝もあたしは千葉に手作りの朝食を用意した。豆腐とわかめの味噌汁、卵焼き、焼き魚と浅漬けの朝食を、千葉は、「旅館の飯みたいだな」と感動し、もりもり食べた。食欲旺盛な中学生男子のような食べっぷりだ。

洗濯はさすがに戸惑ったが、千葉はそんなことまるで意識していないらしい。下着も当たり前のように洗濯籠に放り込まれていた。

千葉にとってあたしは本当に女ではないのだろう。家事のできるサルと暮らし始めたくらいの感覚なのかもしれない。

ウッキッキーだ。

とはいえ、行ってらっしゃいと玄関で見送ったときは、密かに感動したものだ。なんだか新婚さんみたいじゃないか。

例え模擬新婚だとしても、こんなことでもなければ、あたしは一生味わうことができなかっただろう。