アンラッキーなあたし
占いの館に着くと、ルコ先生が珍しくいた。今日はひまなのかもしれない。

いつも通りメイクをしてから、掃除をし、ルコ先生にお茶を淹れ、肩をもむ。ごりごりごりごりと日頃の恨みを込めてもむ。しかし、いくら力をこめても、ルコ先生の口からは「ふぇぇ」とか「ふぉう」とか気持ちよさそうな声しかでない。年をとると痛覚がにぶるのだろうか?逆にあたしの腕が痛い。

「彼氏はできたか?」

「まだです…」

毎日、毎日、挨拶代わりに聞かれ、もはやストレスである。肩を揉みながら、今ならヤレると、殺意が芽生えるのも毎度の事だ。無論、そんな度胸などないのだが…。

「彼氏なんて、その気になりゃ、一日でどうにかなるもんだよ」

いちいち癪に障る。一日でどうにかだなんて、夏休みの宿題じゃあるまいし。

「まあ、あてがないわけでもないので」

こうなったら見栄を張ってやる。精一杯の強がりだ。

「ほう…アテね」

完全にばかにした態度に腹が立つが仕方が無い。こうなったら、千葉が誰かを紹介してくれるのを期待するしか道はないのだ。こんなあたしでも、誰か一人くらいは見初めてくれる…と、思いたい。
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