アンラッキーなあたし
さすがのあたしも怒りで体が震えた。瞬は、初めからこのつもりであたしを紹介してもらったのだ。運命とか一目ぼれとか、全部嘘だった。

アユカと瞬はぐるなのだ。ぐるになって、あたしをはめようとしている。

「さくらちゃん、ほら、はめてみてよ」

アユカが無理やり指輪をねじこもうとした。

「痛い、痛いです!」

あいにく、指輪はあたしには小さすぎて第二関節より下へは降りていかない。それなのに、アユカが力いっぱいねじこもうとしたので、あたしはたまらずアユカの手を振り払った。

「やめてくださいってば!」

「きゃああ」

軽く腕を振り払っただけなのに、アユカは信じられないくらい後ろへ吹っ飛んだ。あたしはいつからスーパーサイヤ人並の力を手に入れたのだろう?

指輪がころころと床へ転がった。瞬は指輪を拾い上げるとあたしに近づき、

「さくら。サイズが合わないならネックレスにしよう。ほら、似合うよ」

と、指輪を胸元にかざして見せた。

こんな物をぶら下げて歩くくらいなら犬の首輪をしたほうがマシである。そう思って瞬の手も振り払う。

「どうしたんださくら?俺の選んだ婚約指輪が気に食わないのか?」

瞬が傷ついた顔をしてうなだれている。が、同情する余地などない。だいたいにして、婚約指輪って普通男が買うもんじゃないのだろうか?結婚には無縁のあたしでも、それくらいのことは知っている。馬鹿にするにもほどがある。
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