アンラッキーなあたし
「おところでさ、やっぱ、顔も知らない相手と会うのは危険だぞ。考え直せ」

「いいから、いいから!あたしはシンディーと幸せになります。千葉さんも弥生さんと幸せになって下さい!」

あたしは笑った。大嫌いな顔のアザも隠さず、顔中しわくちゃにして笑って見せた。泣き出してしまわないように、力いっぱい笑うしかなかったのだ。

「お、いい笑顔!」

千葉も笑ってくれた。

今だけは、この笑顔はあたしのもの。

大好きです。千葉さん。

「じゃ、俺行くな!シンディーに宜しく!」

「行ってらっしゃーい!」

これが、最後のお見送り、か。ひょんなことから始まった同居生活だけれど、楽しかったな。

玄関のドアが閉じた時、こらえていた涙が溢れた。

短い間だったけど、千葉の優しさに触れた時間は、あたしにとってかけがえのない宝物。これからは、弥生が千葉を見送り、弥生の作った料理を千葉が食べる。そして二人はあのベッドで眠るのだろう。

そしてあたしは…。
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