アンラッキーなあたし



「考えさせてください」



あたしの返事を聞き、千葉が固まっている。

「考えさせて下さい。って、一度言ってみたかったんです。ああ、夢がかないました」

あたしは自分ではいた台詞にうっとりとしていた。

「なんだそれ?人が真面目に言ってんのに!じゃあ今の告白は取り消し!」

千葉は立ち上がると、くるりと背を向けた。

「アア゛ー!待ってー!」

慌てて千葉を引き止めようとしたあたしは、つい、千葉の片足ともいえる松葉杖にすがってしまった。

「うわ!」

片足を奪われた千葉がバランスを崩す。

「危ない!」
助けようと千葉の上半身を支えると、予想以上に重く、あたしたちはそのままベッドの上に倒れてしまった。

< 341 / 354 >

この作品をシェア

pagetop