アンラッキーなあたし

ルコ先生との出会いは、何の前触れもなく訪れた。

三年前の雨の日、あたしは雨と涙でぐしゃぐしゃになった顔で、この館の前にいた。

その日、当時あたしが勤めていた会社が倒産した。

小さな小さな、吹けば飛んでしまうような町工場だったけれど、こんなあたしを初めて正社員として迎えてくれた会社だった。

給料は少なく、汚れた作業服が制服。仕事は地味な流れ作業で、毎日同じ事の繰り返し。

けれども、雇ってくれた経営者の老夫婦も、少ない従業員たちも、みな、暖かく優しかった。

あたしはそこで、初めて人間らしい扱いを受けた。だれにも蔑まれず、意地悪もされず、かおのあざを笑う者もいない。

初めて見つけた自分の居場所。小さな幸せを噛み締めていた。