アンラッキーなあたし
「そう」

全てを聞き終えたルコ先生は、そう言っただけだった。

「で、やるの?やらないの?どっち?」

まったくこの人はなんなのだ。いきなり人を不幸顔だとばかにしたかと思えば、ここで働けと言う。それも、あたしには他人を幸福にする力があるとか適当なことを言って。なんて胡散臭い。ばかばかしい!

そう憤慨したはずなのに、あたしの口からは、

「お願いします」

まるで魔法にかけられたみたいに、するりと言葉がでていた。

「そうと決まれば…」

ルコ先生はそう言うと、また、きびきびと動き始めた。

「こら、ここにすわんな」

言われるままに鏡の前に座ると、ルコ先生があたしの顔に化粧をし始めた。

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