アンラッキーなあたし
そういうわけで、あたしはルコ先生の「占いの館」で働き始めた。

週末だけというのはルコ先生が決めたことだった。なんでも毎日他人に自分の城をうろうろされるのは気が狂いそうになるからダメなんだそうだ。なら他人を雇うなよと言いたくなるが、ひとりぼっちは寂しいのだという。

不思議なもので、あたしはメイクをして衣装に着替えると、言葉がするすると出てた。恋愛経験もなけりゃ、友達もいない、そんなあたしが、ここでは恋愛の神様になる。

勿論、それは、恋愛ドラマや小説や漫画の請負なのだけれど、あたしは、まるで自分が体験したことのように語り言葉を操った。

あたしの占いはすぐに評判になった。「美人占い師・さくら」とか、「ミステリアスなさくら先生」なんて呼ばれ、あっというまに人気者。

これがあたしが三年かかって築き上げた地位だ。
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