アンラッキーなあたし
「ところで、ねぇ、先生。あたしを毎日ここで働かせてくださいよ」

ルコ先生は相変わらずあたしを週末しか働かせてくれない。あたしはそのことが不満だった。

「断る、断る!週末だけって約束だろ」

「けど、あたしが毎日いたほうが儲かると思うよ?」

正直、OLしているより占い師のほうがよほど稼げる。それに、好きでもない仕事をむかつくやつらに囲まれてするより、好きなことを、慕ってくれる人に囲まれてしたほうが、あたしだって楽しい。

「それなら、独立したらいいだろう?私は引き止めやしないよ」

「ああん。いけずぅ。あたしは先生が好きだから先生のもとで仕事したいんですよぉ。まだまだ学びたいこともたくさんあるし」

くねくねと擦り寄ったあたしに、気持ち悪いねぇと先生は顔をしかめた。

ルコ先生が好きだし、学びたいこともたくさんあるというのは本当だ。でも、あたしには独立する資金と勇気がないというのも本当。

本来、あたしは人付き合いが苦手。メイクを取った瞬間、冴えない女に戻ってしまう。あたしには独立する勇気なんかない。それを、ルコ先生が見抜いていないはずがなかった。
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