アンラッキーなあたし
通帳に、直接お金が振り込まれるシステムは恐ろしい。

無人契約機から罪悪感とともに引き出す金とは違い、まるで初めから自分の金だったような錯覚を起してしまう。

が、浮かれすぎたあたしは、そんなことには気付かない。

さっさと荷物の整理をし、ごみを捨てる。ついでに、ペンケースにぶら下った呪いの人形不気味君三体もゴミ箱に捨ててやった。

もう、こいつらと顔を合わせることもあるまい。

さよなら、ハゲ、ブタ、ブリッコ。アディオス。

明日にはこの三体も灰になっているだろう。思い出したくもない思い出は置き去りにするに限る。

新たな門出には相応しくない。
< 90 / 354 >

この作品をシェア

pagetop