アンラッキーなあたし
「あ、あたし。組みます、定期。それから、貯金もたくさんします」

嬉しすぎて、借金だらけのくせについ調子のいいことを言ってしまう。

「ははは、頼もしいですね。お待ちしてますよ。これ、どうぞ使ってください」

中田さんは、キャンディーではなく、銀行のマスコットが描かれたタオルをくれた。

「あ、ありがとうございます」

墓場まで持ってゆきます。

感無量なあたしは、額がひざこぞうにつくくらい深くお辞儀をした。

さっそく今夜メールをしてみよう。タオルのお礼も兼ねて。

口実ができたと、あたしは秘かにほくそ笑んだ。
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