LOOOOP



「何だよ」



ちらり、肩をすくめていた篠原を見る。

何かを言いたそうな、そんな顔つきではあるが、決して自分の思惑全てを話そうとしているようには見えなくて、じれったい。

彼女のことを少しでも探りたいってのが俺の人情ってもんだけど、ここは干渉を控えて大人しくサラッと流すのが、カッコいい男なんだろう、と。…


そう決めつけてまた、前に向き直った。




「じゃぁ、…コンビニで適当にビール買い占めて、ウチで飲まない?」


「…は?」



しかし、そんな俺の気遣いすら認めてもらえない訳だ。



「ウチでって、お前…」


「大丈夫。お金ならあるよ。なんだったら、おつまみぐらい作るし。だから、ねっ?」


「いや 、…」



『ねっ?』…ってお前、違うだろ。

俺が男だって、分かって言ってんだろうか、この女は。

お前は独身で、俺も独身。共に1人暮らしの身。

バカなのか?それとも、鈍感なだけ?

ここまでくると、もはや男として見られていないような気さえしてくる。


俺ってお前の、何なんだよ。


連れか?飲み仲間か?

それとも…



「ぶっ…!結城、何その顔。気持ち悪い」


「…」



ただの、同僚なのか。



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