《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
どこからどうみてもアレは三浦だった。


私が言うのもなんだが、三浦は一番冴えない女の子の隣にあえてずうずうしく入り込んで座っている。


私の時と同じパターンじゃん。

なに、これ。

あいつ、合コンで冴えない女をお持ち帰りする仕事人な訳?


しばらく大きな白い柱の影にいた私。

「お客様? 何かお探しでしょうか?」
不審な私の動きを察知した男性店員に話しかけられてしまう。


「トイレなら自分で探しますから、放っておいてください」
と三浦から目を離さずに返事をした。

柱の影から見る三浦は、どこも変わっていない。初めて会った時のままだ。


三浦の告白になんだかんだ一人で考え、振り回されている間、私が目の下にこさえたクマに意味はあったんだろうか?


今、ここで合コンに参加している三浦を見てると何処にも悩んでいる様子がない。

それどころか、顔色も良くて元気そうだし、イケメンっぷりが更に上がったような気さえする。


冴えない黄色のカーディガンを羽織っている女子に笑顔で話しかけている三浦。

戸惑いながらも満更でもなさそうな女子。
サラダを小皿に取ってやり隣の女子に渡す三浦。

あ、指先が触れたんじゃない?!

私にはサラダなんか取ってくれなかったわよね、確か。

でも、彼女……控えめな感じだけど、よく見たら私より若いしメガネをとったら結構可愛いかも。


私みたいな年上より、そりゃあ少しでも若くて可愛らしい方がいいでしょうね。

男なんて皆そう。

そんなものは、もはや常識だ。それなのに、ありえないことに期待した私が大馬鹿だった。


柱から手を離し、トイレに行かずに万里の待つ席へと引き返していく。


夢か幻だ。


三浦なんて男は、初めからいなかった。存在すらしていなかった。そう思えば、もう悩まなくても済む。きっと、そうだ。

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