《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「タイプとか特にないんですよね〜」
爽やかに出た。タイプ無いとか言って全ての女子に期待を持たせてしまう罪作りなモテる男特有の答えだった。
私に屈託のない笑顔をたくさん向けてくれる三浦さん。
平凡な吉田さんにも無視されていた私に極上なイケメンが笑顔を見せてくれる。この状況で鼻血が出ないのが不思議だった。勘違いしそうじゃないのよ、優しい男ってなんだってこう罪作りなんだろう。
さっきとは違う女の店員さんが生ビールとモスコミュールを運んできた。心なしか三浦さんにグラスを渡す手が震えているように見える。
そうそう、震えてしまうようなイケメンなんだよなぁ、三浦さんって。
なんだか自分もイケメンの甘い罠に酔いそうだ。そんなときは、とにかく飲むに限る。ぐいっと一気にモスコミュールを飲み干した。
お酒は結構イケるクチである。イケるどころかザルだ、沢山飲んでもまず酔わない。鹿児島男の父さんがお酒に強い人だから、間違いなくその血を受け継いでるのだろう。
一度でいいから合コンで可愛らしく酔ってみたい。酔って好みのタイプがいたら『酔ったみたい~』とか言って肩にしなだれかかりたい。
「あれ? そんなに飲んで大丈夫ですか? さっき飲みすぎたって言ってましたよね」
ああ、そうだった、すっかり忘れていた。帰ろうと演技しかけてたんだった。
「あの、そうだった。飲みすぎたからそろそろ……帰ろうかと」
立ち上がろうとテーブルに手をついた。