《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
せ、狭いから!
吉田さんが勝手に戦闘モードに突入したのは、わかる。わかるが私の太腿に吉田さんの太腿があたるのは、いただけない。
この席、満員電車並みに混んでるんですけど……。そんな風に思っている所へ私の左腕が軽く誰かにつかまれていた。
え?
自分の腕を見ると、三浦さんの右手が私の二の腕を掴んでいる。それから、立ち上がり中腰になって三浦さんは私の腕を軽く引っ張る。
「良かったら、向こうへ移動しませんか?」
返事も待たずに強引に私を立たせて三浦さんは向かい側の席、さっき平凡な吉田さんが座っていたところへ一緒に移動した。
つまり、私と三浦さんは吉田さんと席をチェンジしたことになる。
なんで、私まで連れてきたんだろ? 疑問に思って三浦さんを見てみる。
三浦さんは、春風みたいに爽やかな笑顔を私へ向けていた。
かなり見てるじゃん、イケメン三浦氏。
「狭かったでしょー? 大丈夫でした?」
「うん、大丈夫」
「吉田の奴、今日は朝からハリキッてましたからね」
くすりと笑う三浦さん。
「なるほど……」
「僕も……来た甲斐がありました」
実に意味深な言葉だった。私が今より8歳くらい若かったら完全に勘違いしているところだ。
三浦さんの爽やかな笑顔を見てると、少し位なら騙されてもいいのではないかとさえ、ちらっと思えてしまうからイケメンって得な生き物だ。
「はあ、なるほど……」
何で来た甲斐があったの? と三浦さんに聞くと、こっぴどく騙されそうな気がして、とりあえずわかった風に同意しておくことにした。
本日の合コンメンバーは私以外美人揃いだ。
よって男性陣にとっては、本日の合コンは当たりだと思う。参加した甲斐があるってもんだろう。
「ちなみに真澄さんは、年下ってどうですか?」
なぜか私の隣にいる三浦さんが、またもや意味を勘ぐりたくなるような言葉を発信してきた。
「私はどちらかというと……年上がいいかなぁ」
「……へぇ、そうなんですか」
少しがっかりしているように見えるのは、私の凄く生意気な勘違いだろうか? そうに決まっている。ポジティブすぎる勘違いに自分で自分の首をしめないうちに、さっさとこの無意味な会話の向きを方向転換させたい。
「そうなんです。ははっ。三浦さんは?」
事実、年下男は4歳下の弟だけで充分だ。年下と聞いた時点で弟に見えてしまう。
それに、こうみえても私は付き合ったら、むちゃくちゃ甘えたいほうなのだ。だから、年下は絶対に無理。可愛い子犬みたいな男子? いらない。それに私は犬派じゃなく猫派だ。
それでも興味はわく。こういう容姿に恵まれた男子は、一体どんな女子が好みなんだろう。やはり、自分より年下の美形な女子がタイプなんだろうか? それとも、意外とB専とかだったりして。