《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

腕から離れると、見上げるようにして俺を見る真澄さん。

真澄さんには嘘をつきたくない。素の俺を知ってもらいたい。

「うん。好きじゃなくても良いからって熱心に告られてさ、そこまで言ってくれんならって……でも結局、俺は彼女を好きになれなかったんだ。当然、そんな俺に愛想つかして彼女は、さっさと他の男の所へ行ったけどね」

ついでにその彼女から『俊也ってさ、何考えてるかわかんない。顔だけは、頭にくる位いいんだけどね〜』と褒められてんのか、けなされてるのかわからない捨て台詞を吐かれたんだけど。

そんなことまで真澄さんには言うこともないだろう。


「そう」
唇を少し尖らしている真澄さん。


「まただよ、怒ってる」


「怒ってない」
余計に唇を尖らせている。


「怒ってんじゃんか。なんだよ、正直に話したらだめなのかよ」

こんなの全然望んでなかった。真澄さんと喧嘩なんかしたくない。

せっかく、二人でゆっくり過ごせてるんだ。本当は、もっと最高に楽しくしたいのに。



「桜の木の下にいた女が忘れられなかった。彼女作っても満たされなかったんだ。どこの誰かもわからない女のせいでさ」

じりじりとにじり寄って真澄さんを見おろす。



「私のせいみたいじゃない! 悪かったわね! 勝手にひと目ぼれさせるような真似しちゃってさー」

俺に追い詰められるようにして、腰をシンクに当てた真澄さんは、シンクの縁に手をついて、俺を睨むようにして見上げた。




「ほんとだよ。責任とってくれよ」


「はい? ひと目ぼれの責任って何よ。
馬鹿みたい。そんなの勝手にひと目ぼれしたあんたが悪いんでしょ」
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