《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
去年のあの日、桜の咲く季節に止まったままだった映像が、生き生きと動き出す真澄さんを再び映し始めている。
「好きなんだ……真澄さん」
追い詰めた彼女の両頰に手を当て、顔を近づけていく。
彼女の瞳が水を含んだみたいに潤んで見える。
真澄さんの頰に手を当てゆっくりと近づいていく。
好きな気持ちを伝えたい。触れたいし、感じたいんだ。
「あ!」
唇が真澄さんの唇に触れるか触れないかのところまできて、真澄さんは急に声を上げた。
「……」
黙って真澄さんと視線を合わせる。
どういうつもりなんだ。
俺が嫌なのか?
若干苛立った俺は、懲りずに真澄さんの唇を狙いにいった。
「あ!」
また、声を上げて真澄さんは、これ以上無い位まで後ろへのけぞった。後ろに反り返り、シンクの中に頭が入りそうになったところを俺が支えた。
そこまで仰け反るほど、俺を避けるわけ?