《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

「頼まれる事が多くて特に女がらみですけど。この前なんてね……」

目の前で結構すかしながら真面目に話している男。

信じられない! 世の中いろんな男がいるだろうとは思っていた。

私だって恋の一つや二つしてきた。苦い想いもした、もちろん良い想いもした。ひとりひとりタイプは違った。

会社にだって通勤途中にだって、嫌な奴は結構いたりする。いたりするけれどもこいつは……コイツはあんまりだ!

前髪をいじり、かっこつける男、三浦。

もう呼び捨てでも構わない。こんな男を一瞬でもイケメンだと思ってしまった自分の腐りきった目をえぐりだして新しい目と取り替えてしまいたい。


軽薄で馬鹿な男に掴まれた手が、さわられた手の甲からどんどん腐っていくような気がしてきた。

ワナワナと震える腕を思わずさすった。寒いからばかりじゃない、怒りで震えてるのだ。
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