《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

今日会ったばかりの私を合コンに必要ない駒呼ばわりし、あげくに自分をイケメンだと馬鹿みたいに恥ずかしげもなく言ってのけた三浦。

三浦は、今も自分がイケメンで、どれだけ苦労しているかをこんこんと聞いてもいない私に向かい細かく説明している。

イケメンは案外らくじゃない?
はーーー飽きれた。心底飽きれた。よくもまあ、ぬけぬけと言えたもんだ。開いた口が開きっぱなしになるどころか、顎まで外れそうな感じだ。

そんなイケメン苦労話をブサメンの前で言えるものなら言ってみればいい。きっと、馬鹿にしやがって! とぶちのめされるのがおちだ。そんなに嫌なら、顔を取り替えてやるよとも言ってくれるはずだ。

苦労知らずの金持ちのボンボンに限って、苦労してみたいと阿保なことを言い出す。恵まれた人に限って、馬鹿なことを言い出すのは、仕方の無いことなんだろうか。

いや、世の中には言っていい事といけない事があるはずだ!

頭の中が今にも噴き出しそうに沸騰していた。体の奥に潜んでいたマグマが、ここぞとばかりに鼻から口から耳から一気に吹き出してきそうだった。
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