《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

今日は、五目焼きそばにしようかな。

お弁当コーナーの下段に焼きそばやパスタの類いが並べられている。

あ、あった。

お目当ての五目焼きそば、麺は柔らかい方の奴。それがひとつだけ残っていた。

ついてる! そう思って手を伸ばした時に隣からもスッと手が伸びてきて、断りも無く私が手にしかけた五目焼きそばを掴みとってしまった。


あっ!
やられた!


あっちのがタッチの差、速かった。完敗だ。ここは気分よく譲ろう。

「……どうぞ」
そう言っていい人ぶり、前に出していた手を隣のソース焼きそばに伸ばし、相手に五目焼きそばを譲った。

「そうですか。どうも」

お互いに気まずい空気を感じながらも作り笑いしながら、五目焼きそば戦で刀を交えた相手を見た。
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