《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

「身の程?」
美人受付嬢二人が顔を見合わす。私は、急いで二人の背中を押した。

末席結構。人数足りないのも結構。私は自分の身の程を切ない程にわきまえている。

こんな年下メンバーの中で、いてはおかしいくらい私は浮いている。浮いているついでに人数も合わない事だし、この場を冷えた空気にしないうちにおいとましないとって考えた。

それには、出入り口に近い末席に座らなければならない。


私は、女子メンバーの背中を押して押して押しまくった。

「ね、人数足りないし…私さ、後で用事もあるから先に帰るよ」
靴を脱ぐ前に小声でさりげなく先に座敷に上がりかけている万里に声をかけてみた。

「あ〜先輩。大丈夫、私も今日はノンアルコールで行くから」

万里が逃がさないとばかりに私の腕を掴んで座敷に上がらせようとする。

ノンアルコールでいく。万里は、そういった。それは女子メンバー内での暗黙とも言えるルールだ。

万里は、結構お酒に強い。その万里が「ノンアルコール」を注文する。

すなわち、今日はハズレだから私、早く切り上げて帰るね〜って合図だ。


以前、そんな合図を全く知らなかった私は万里にしつこく尋ねてしまった。
「ね〜、どっか具合悪いの? 飲める万里がノンアルコールなんて」と。

あの時、途端に万里がぎこちない笑顔になったのは、まだ記憶に新しい。


つまり、万里にとって今日は気に入った男子がいない。ハズレ、そういうことだ。
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