うらしまさんとあずみちゃん
 きょうは海が時化ているので、島子は本を黙々と読んでいます。

「島子さん、何読んでるの」

 あずみが背中からのぞきこむと、島子は本をかざしました。

「万葉集だよ。あずみも読んでみる」

「遠慮するわ。古文はだめなの、漢詩は読めるけど」

「あずみって、変わってるよね」

 島子は、おかしそうにフフッと笑いました。

「永遠てあるのかな」

 あずみが不安そうに言いますと、島子はあずみの肩をなでながら答えました。

「あると思うよ。なぜそんなことを」

「今は島子さんを思えばドキドキしてる、でもいつかはそんな気持ちも衰えるんじゃないかなって、そう考えたら寂しくなってしまう」

「それは、家族になるからだよ」

 島子は落ち込むあずみを励ますように答えてやりました。

「ドキドキしなくなったら、きみはぼくのことを、お兄さんみたいに思うようになる。ぼくはきみを妹のように。それだけで、愛情の深さはきっと変わらないはずだよ」

「そういうものなんだね」

「そうそう。だから不安がらないで、ずっと一緒にいようよ」 


 島子の言葉を聞き入れたかのように、雲の切れ間から光が差し込んで、あたり一面、虹色に輝いていました。
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