隣に座っていいですか?
そこは春いっぱいの花畑
色鮮やかな花が花瓶で咲き
春の香りが漂い
品の良い白檀の香りがした。
桜ちゃんのお母さんはそこにいた。
とても綺麗で
優しそうな笑顔を見せ
仏壇の中で笑っていた。
「お母さん、いくちゃんですよ」
桜ちゃんが言い
私はフラフラと夢遊病者のように仏壇の前に行き、腰が抜けたようにストンと座る。
「いくちゃんはさくらのおともだちです」
桜ちゃんが私の傍に寄り
甘えたように仏壇に話しかける。
桜ちゃんのお母さんは何も言わない
ただ
私達を見て
優しく微笑む。
私は
なんてひどい事を
田辺さんに言ってしまったんだろう。
涙が止まらず
不思議そうな顔をする桜ちゃんを、ギューっといつまでも抱きしめていた。