隣に座っていいですか?

「郁美さん。足が折れました。動けません」

そりゃもう
情けない声を出し大騒ぎ

しかしながら
どう見ても
折れてる雰囲気には見えませんわ。

リビングの段ボールの山の中、うずくまり倒れ込んでるへタレがひとり。

「どうしたんですか?」

「段ボールでコケました」


片付けろ!

泣く前に片付けろ!

「折れてます。動けません」
声が情けない。

私は田辺さんの靴下を引っ剥がし、足首を観察。腫れてもないし外傷もない。

ちょっと叩いてみると

「ぎゃー」って大声。

うるさい……。

「動かせますか?折れてたら動かせませんよ」
荒く言うと
グズグズしながら少し動かす。

ネンザですね。これは。

「湿布ありますか?それで大丈夫です」

「折れてません?」

「絶対折れてません」

「病院行かなくていいですよね」

「いいです」

「注射とか痛い治療しなくて大丈夫ですよね」

「多分」

「僕、注射苦手なんです」

知るかそんな事!
< 54 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop