隣に座っていいですか?


拒否された。

雨音だけが残る店で
ひとり立ちすくむ

拒否されるって悲しいね。

はっきり言われた。

悶々としながら
自分の部屋に歩き布団に入るけど

桜ちゃんの顔が浮かぶ。

熱高いのかな
苦しいのかな
泣いてないかな

ダメだ。
こっちこそダメだよ田辺さん。

もう
大人しく寝てられない。

着替えて鍵をかけ
家を飛び出し隣に走り

今度は私が田辺さんのように、豪邸の扉をドンドン叩きまくる。

氷枕を作っていたのか
袖を上げ扉を開けて
私の姿を発見し目を大きくする。

その表情が
桜ちゃんに似ていた。

「郁美さん」

「入れて下さい」

「いや……でも……」

「入ります」
田辺さんの隙を狙って中に入り
私は話に聞いていた
二階の桜ちゃんの部屋を探す。
< 76 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop