隣に座っていいですか?
広い階段を上がってすぐ隣
半開きになっている扉
奥の方が微かに明るい

そっと足を入れると
ベッドに桜ちゃんが寝ていた。

8畳くらいのスペース
元から子供部屋だったのだろうか
薄いパステルカラーの壁紙
紺地にお星さまの模様が浮かぶカーテン。小さな机。小さなタンス。
ベッドサイドには小さなスタンド。そのうっすらとした柔らかい明かりの下、桜ちゃんは真っ赤な顔をして息も荒く苦しそう。

枕元には
いつもの仲良しクマちゃん。

私はそっと膝を着き
桜ちゃんの頬を触る。

熱い。
首筋の脈も速く感じる。
子供だから?

「今、水枕入れますね」
田辺さんが部屋に入り
桜ちゃんの頭の下に水枕を入れ、体温計を入れる。

「いつから?」

「昼から。幼稚園から電話が来て迎えに行きました」

「病院は?」

「行きました。熱は一度下がったのですが、1時間前からまた急激に上がってきて、熱さましの座薬を入れたので、たぶん大丈夫だと思うのですが」

心配そうに
桜ちゃんの額に頬を寄せる。

「息も荒くて、苦しそうで……こっちの方が見ていて苦しい」

うん
田辺さんも
とっても苦しそうな顔してる。

体温計が鳴り
奪うように手を伸ばして数字を見ると。39度5分……ありすぎる、高すぎるでしょう。

「保冷剤はありますか?」

「保冷剤ですか?」
私の言葉に田村さんは不思議そうに返す。

「ケーキとか買った時入れてくれるヤツですよ。食品の鮮度を下げないようにするの。冷凍庫に入ってません?」

「あ、あります」

「ふたつ下さい」

「はい!」
走る田辺さんを見送り
桜ちゃんの熱い頬に手を添える。

大丈夫だよ。

すぐ熱は下がるからね。
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