隣に座っていいですか?


それから

桜ちゃんの言葉を待ちつつ
その可愛い姿を
また見たいと思いつつ
ご両親を待ちつつ

つつつつつつ……っと
首を長くしてたのだけど
9時になり
そば屋も閉店時間になりました。

忙しいのかな
ガラガラっと扉が開くと
笑顔で振り向いてたけど

可愛い笑顔は
見えずに終わる。


「常識ないなー」

ガンコ親父が厨房で鍋を洗う。

「忙しいんだよ」

軽く答え
外に出て春の気配を感じる。

桜も咲くかな

ふと
隣りを覗いてしまう

敷地の広い
三階建住宅。

グルリと白い塀で囲んでいるけれど
塀の上に見えるのは

桜の木。

小ぶりだけど
桜の木がある庭。

私達
町内の者たちは
そこを通るたびに
春の香りと
舞い落ちる桜の花びらに癒されております。

いいなぁ

庭が広くて豪邸
桜の木も付いている。

セレブな生活

25歳
リストラ女子には縁遠い。
はぁー……と、溜め息など付き
のれんを外して営業終了しようと思っていると

背中に
気配を感じた。

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