今宵、きみを想う
 『フリで、いいから―――』


 そんな言葉をつけて、キミに彼氏になってと言ってみた。


 本当に賭けだった。


 だって、本当は知ってたから―――


 キミが、私じゃない女の子を見ていたことなんて、キミを見てたら気が付いていた。


 それでも……付き纏わられる恐怖と、これはチャンスじゃないかと思う気持ちと。


 どうしても、なんとかしてキミを手に入れたいという気持ちが勝って賭けに出てしまった。


 惨敗したらどうするんだーなんてことは全く考えもしてなくて。


 ただ、やるだけやってみようってそんな気持ちしかなかった。


 だから。


 だからキミが『いいよ』って言ってくれた時、本当は涙が出そうなほど嬉しかった。


 だけど―――
< 45 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop